新商品・新事業開発のアイディア出しに役立つデザイン思考

最近は、講師業の案件が増えてきています。また、企業の戦略を検討する会議のファシリテーションや既存業務の改善点から実行計画に落とし込んでいく支援をしています。

これまで、社内でモヤモヤと考えていたことが、ファシリテーションをしてもらったり、助言をもらったりすることで、前進することができたと言っていただくと大変嬉しく思います。ただ、私としては、その計画を実行して行って、その結果「成果が出た!」というところまで伴走支援したく思います。

計画は、実行に移すための計画ですが、時には修正しながら進めていくことになります。計画を進めていく上で、様々な課題に直面することも多々あります。そこで、足が止まってしまわないように、成果出しまでご一緒したいと思っております。

講師業+ファシリテーションというトピックと合わせて、今回はデザイン思考について、触れたいと思います。実は本件については近々セミナーを実施するので、改めて本を読んでいるのですが、デザイン思考って本当に泥臭いものです。スタンフォード大学で、マーケティングや財務などと同じレベルで、デザイン思考のプログラムがあります。そして、英語だと” Design Thinking”だし、なんだかおしゃれな響きがするので、「スマートなフレームワークか?」と思われている方も多いのではないでしょうか。中小企業の方は、敬遠されているかもしれませんが、本当のデザイン思考を知ったら、きっとそういう方も腹落ちします。

 

このように思いましたので、これから3回にわたってデザイン思考についてブログを書いていきます!

デザイン思考とは?

デザイン思考は、「思考」と命名されている通り、考え方やアプローチ方法です。フレームワークやツールそのものではありません。AirbnbやiPhoneなど新しいサービスや商品を生み出してきたデザイン思考家が、どうやってそれらを生み出してきたのかを振り返ると、類似プロセスを辿っているのです。それがデザイン思考です。それは、S W O T分析をして、5force分析をして・・というものではなく、有名な映画のセリフを拝借すると「事件は会議室で起こってるんじゃない、現場で起こっているんだ!」ということです。つまり、何か商品を開発したり、改良したりするのであれば、そのユーザの立場で物事を考えるということです。

デザイン思考の基本的なプロセスは、共感、問題提起、創造、プロトタイプ、テストです。そして、これは一回で終わるのではなく、何度も繰り返します。

デザイン思考は、創造のフェーズに着目されていることが多いと私は感じますが、その前の共感と問題提起がとても大事です。問題提起することによっては、その後の創造フェーズでのアイディア出しの効果が薄れることになります。例えばですが、「飲食店Aの売上を伸ばすためには、どうすれば良いのか?」に対して、「味のお客様うけが良くない」という点を問題提起したとしましょう。創造フェーズでは、メニューの変更、既存メニューの味の調整、シェフの教育、シェフの採用などが出てきます。しかし、実際は味ではなく、「なんか居心地が良くない」とお客様が感じていたら、味に対するアイディア出しは検討違いになります。

共感フェーズ

共感のフェーズでは、ユーザどんな環境で、どのような体験をして、どのような気持ちになっているのかを徹底的に観察して理解します。それも固定概念を捨てて、ピュアな眼で見ます。例えば、Airbnbをラウンチした初期は、1週間に200ドルほどの売上げしかなかったようです。ユーザと売上を増やすために取った行動は、改めて、自分たちでAirbnbのサービスを使い、貸出している宿泊可能不動産に足を運び、実物を見てくると言うことでした。気づいたのは、掲載している写真が、実物の宿泊不動産よりも「ダサい」と言うことでした。その後、ユーザーが魅力を感じる写真を載せるだけで、たった1週間で倍になったそうです。「そんなこと」と思う方もいらっしゃると思いますが、実際そうでした。日本の企業でも、自社製品が大好きすぎて本当のユーザの気持ちになれていないということも結構あるのではないでしょうか。あるいは、これまでもアンケートを取ったり、フォーカスグループやインタビューをしていたという企業も自身が完全な顧客として体験するということはやっていなかったということがあれば、是非検討してみてください。

共感フェーズで、エクストリームユーザの話を聞くということも効果的です。エクストリームユーザとは、極端な行動パターンを持つユーザ(顧客)です。飲食店の場合では、通常ランチや夕食を食べたり、友達とカフェの目的で使ったりと言うことは多いでしょう。一方、毎月飲食店を貸し切ってホームパーティの用途で使いたいというお客様や仕事場として一人で毎日長居したいというお客様もいます。このようなユーザが、どのようにその飲食店での体験をとらえているのかを調べると、新しい気づきがあるかもしれません。

ちょっと長くなりましたので、一旦休憩。次回は「問題提起」について書く予定です。