B2B型アプリ提供企業の信頼関係構築に貢献する行動とは?

前回、営業において、信頼関係構築に着目しました。最終回では、B2B型アプリ提供企業に焦点を絞り、信頼関係構築に貢献するアクションをご紹介します。

調査は、あらかじめ、優秀な成績をのこしている営業マン複数名のインタビューをして信頼関係構築のための48アクション(アクションには#1から#48まで番号が振ってあります)を抽出しました。さらに、7社のB2B型アプリ提供企業のご協力を得て、48アクションの実施に関して、74名の営業員からサンプルを集めました。

そのデータに対して、単回帰分析(48回)とアソシエーションルール分析*を実施しております。

*組み合わせを出す分析

単回帰分析の結果、「顧客企業と信頼関係を確立し、継続的な自社売上に繋げられている状態」に貢献しているといえるアクションは、以下15アクションでした。

#3 顧客課題と自社製品の価値をマッピングする

#7 顧客業界の事例実績の回答を準備する

#8 特定課題の事例の説明を準備する

#10 顧客と同業界の実績を紹介する

#11 数字を使って事例を紹介する

#14 キーマンと面談する

#15キーマン等に自社が従業員を大切にすることをアピールする

#17 顧客企業内で多くのコンタクト先を作り情報を収集する

#23アプリケーション導入価格やコスト規模を共有する

#28 顧客と自社が対等な立場であることを伝える

#33 受注後の営業・サポート体制の説明を適切に行う

#35成約までの日程を書面にし、顧客と購買プロセスを合意する

#37 役員会で提案に関するプレゼンを支援する

#40 フォローアップコールをする

#43 契約後の定例会を実施する

これら15アクションは、単独アクションとして実施するかどうかで、信頼関係構築度に影響を与えるというものです。

「単独でも」と表現したのは、「顧客企業と信頼関係を確立し、継続的な自社売上に繋げられている状態」を創出するために、「確率」を上げる「組み合わせ」のアクションも検出したからです。
そもそも、当該ブログで言及しているB2Bの「営業活動」というのは、独立した単発アクションではなく、連続するアクションとその蓄積によって成果が出るものであることが多いです。B2Bの営業経験がある方は、イメージしやすいかもしれません。

どのようなアクションの組み合わせが、信頼関係構築度を確立する「確率」を上げるのかというと、以下15アクションの組み合わせということがわかりました。

#1 業界分析をする

#3 顧客課題と自社製品の価値をマッピングする

#6面談のゴールを設定する

#7 顧客業界の事例実績の回答を準備する

#8特定課題の事例の説明を準備する

#10 顧客と同業界の実績を紹介する

#14 キーマンと面談する

#16 キーマンに新しい気づきを与える情報提供をする

#21 案件重要項(予算、決済者、ニーズ、契約時期)をヒアリングする

#25 自社製品のコンセプトを説明する

#31 キーマンの目標・狙いを特定する

#33 受注後の営業・サポート体制の説明を適切に行う

#35 成約までの日程を書面にし、顧客と購買プロセスを合意する

#39 迅速で不備のない契約手続きを行う #40 フォローアップコールをする

これら15アクションの中で、どれとどれを組み合わせれば、どれだけの確率を挙げられるのかというところまでは当該ブログでは触れませんが、各営業フェーズでの活動が組み合わされているということがわかります。

そして、「独立した単発アクション」にはない、5つのアクションは、組み合わせの中で実施すると、効果を表すということがわかります。「あまり意味がないと思い、これまで実施してこなかったアクションが以下に含まれている方は、再度これらのアクションについて評価し直してみていただければと思っております。

【組み合わせにのみ含まれるアクション】

#1 業界分析をする

#6 面談のゴールを設定する

#16 キーマンに新しい気づきを与える情報提供をする

#25 自社製品のコンセプトを説明する

#31 キーマンの目標・狙いを特定する

最近では、ソリューション型営業の代表でもある、B2Bアプリ営業の営業方法が、商社や製造業の営業でも参考にされてきていると聞いたことがあります。
少しでも、皆様の営業活動の一助になれば大変うれしく思います。

参考文献: 竹内理, 水本篤. (2023). 外国語教育研究ハンドブック 増補版 研究手法のより良い理解のために. 株式会社松柏社.